かすみ草の花束を。
小枝side
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「やー…! かわいいです!
黒崎先輩が珍しく泣いてます…!
あ、こっちはなんだか少し、拗ねてる…!?」
黒崎先輩のお師匠さんに、道場に通っていた頃の先輩のお写真を見せてもらうと、そこに写っていたのは、なんともかわいくも凛々しい今よりずいぶん幼い黒崎先輩。
「最初入った頃はへなちょこだったからね~!
できないって悔しがって泣いたこともあったんだよ」
「黒崎先輩にそんな時期が…っ!」
しかしその写真の小さな黒崎先輩は、なぜかどこかで見たことがあるような気がした。
「そうそう。
今はあんなスンってしてるけど、この頃はすごいへなちょこボーイだったんだよ~~?」
「…師匠…、帰る前に一発殴らせてもらえますか…」
「…!?」
その声に私は勢いよく後ろを振り向く。
そこには黒崎先輩と、片手でひらひらと手を振る冬夜さんの姿があった。
二人を交互に見て、安心する。
あぁ、気持ちがひとつになったと。
黒崎先輩も泣いたあとのような潤んだ目をしているが、ずっと刺さっていたトゲがとれたような…どこかそんな雰囲気だった。
「純ちゃんこわーい!
小枝ちゃん僕を守って~~!」
「え"」
師匠さんはそう言って私の背中に隠れるように移動する。
「その小枝ちゃん呼びもやめてほしいんですけど」
「…っ!」
小枝ちゃん…!?
先輩が小枝ちゃんて言った…!
はああああ、やばいやばいやばーい!!