かすみ草の花束を。


「いい」

ガーーーン……
即答で断られた。

だよね…。
断られることには慣れてたはずなのに、最近先輩が何でも許してくれるからって調子に乗りすぎていた。


「あんたの…弁当食べるから」


「……えっ!? 嫌なんじゃないんですか?
休みの日にまで何でまた食べさせられんだよって思ってるのかと…」


「その労力や時間を勉強に使えるのにと思っただけだ」


「……」

また、私のことを考えてくれたの…?

「……なに」

嬉しくて、泣きそうだ。

どうして先輩はこうも、私の心を持っていってしまうんだろう。
先輩のことを幸せにしたいのに…、また私がもらっちゃった……

私は溢れ出しそうな涙が流れる前に腕で拭う。

「先輩! 前に裏庭通った時に、お日様が気持ち良さそうでした! 土曜日でお昼も過ぎてるし、もう人もいないと思います…! そこでお弁当食べましょうっ」

泣きそうになったのを誤魔化すように、先輩に笑顔でそう言った。ーー


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