かすみ草の花束を。
先輩の過去
小枝side
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「はぁ…先輩、かっこよかったなあ…」
昨日のことを思い出してはときめいて、ひとり部屋で悶えてしまう。
教科書とノートを机の上に広げて勉強体制に入ったはいいものの、かれこれ1時間はこうしているだろう。
今日は日曜日。
明日からテスト期間だというのに、昨日の先輩が頭から離れない。
腕を引かれた感覚や、言ってくれた言葉が、ずっと私の頭を占領している。
"残念だったな。 こいつは俺のことが好きなんだと"
"二度とこいつのこと部活のついでにすんな。 頑張る理由に使うな"
"俺から離れるなって言ったよな?"
"あんたの…弁当食べるから"
"しかえし"
"…あんたは…知っててくれてるんだろ?"
先輩がくれるひとつひとつの言葉が、私をとても幸せにする。
言葉だけじゃない。
仕草や表情全てが、私の胸を熱くする。
集中力が皆無の中、「タララタララタラララン…」とスマホからLINEの着信音がなった。
「…?」
誰だろう?
机の端に置いてあったスマホを手に取り、画面を見ると、"流川正人"と表示されている。