かすみ草の花束を。
流川先輩だ……
いきなり電話なんて何かあったのかな!?
私は慌てて通話ボタンを押した。
「はい、もしもし!」
『花咲さん? 流川だけど急に電話してごめん。
今勉強の途中だったかな?』
通話越しに申し訳なさそうな声が伝わってくる。
「あ、いえ!
集中できなくて、勉強してなかったです!」
それもどうかと思うが事実なので仕方ない。
「何かあったんですか…?」
流川先輩が急に電話をしてくるということは、急ぎの用事か何かだと思ったのだ。
『…昨日も純と勉強したんだよね?』
「あ…はい。 数学が致命的だったので教えてもらいました!」
『そっか。 純、元気だった?』
「いつも通りでしたけど…どうして、ですか?」
はっ…!
もしや昨日やっぱり黒崎先輩、体調悪かったのかな!?
『花咲さんに話すと絶対純から怒られると思うんだけど、どうしても…花咲さんに知っててほしくて電話したんだ……』
……私に知っててほしい?
黒崎先輩のことで…?
私は耳にあてているスマホをギュッと握った。
『前に花咲さんに、純は人を信じられないのかもって言ったことあったよね』
「は、はい…」
『…純は小さい頃に、母親を亡くしてるんだ』
「………え…」
…お母さんがいない……?
突然聞かされる黒崎先輩のことに、私は戸惑いが隠せない。