どうも、弟です。

「森野がいても関係ないや、もういい」

「……あ、あの…っ」


雪くん、今どんな顔してるの?

何で私、抱きしめられてるの?

ミニカちゃん、そこにいるんだよ!?


「一花がいればいい」

「………っ!!」


耳に、雪くんの唇が当てられたまま、そう呟かれる。

ちょっと待ってよ雪くん。

ブスな私が傍にいたって、雪くんは嬉しくないでしょ?

ミニカちゃんの方がかわいいし、身長差もちょうどいいし、雪くんにはぴったりな相手だと思うよ?


なんで、そんなこと言うの……?


言いたいこと、聞きたいことは山ほどあるのに

ドキドキして苦しくて、何も話せない。

声って、どうやって出すんだっけ?


「ごめん、一花」

「っ」

「全部俺が悪いから、俺のこと避けないで」

「………」


小さな子供が、すがるみたいに私の体をぎゅっと抱きしめる。


< 141 / 265 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop