嘘つきシンデレラ
何やっているんだ。
葛西が急いで、窓を開ける。
寒さでふるえるさとみ。
「すいませ。しゃちょ」
声まで震えている。
やっと中に入れた。
すごい暖かい
「何やって
携帯も持っていなかったのか」
勘のいい社長が、話しながらも
閉じ込められたことを
察する。
「持っています」
「はあ?
じゃあ何で、誰かに連絡しない」
「ここにいること、誰にも言わない約束だから」
…舌打ちしそうになる。
「…じゃあ、俺にすればいいだろう」
さとみは、ちょっと黙って
言った。
「社長に迷惑かけてばかりで」
険しい顔の社長。
「それに…社長ぜったい
すごい怒るもん」
泣きそうな表情のさとみ。
グ。
言葉につまる
子供かよ。
…
確かに、
俺はこいつに、こんな顔させてばっかりだ。
怒らないように。
それくらいできる。
怒るなよ、おれ。
締め出されたのか。
何で
まあ、理由なんてどうでもいい。
「とにかく、風呂入ってあったまれ。」
社長が、さとみの腕をつかんだ。
ひや。
さとみの腕が、氷のように冷たい。
「は?
いったいいつから、外にいたんだ」
「ひ、昼くらいから?」
ブチ。
なんか、音が聞こえた。