嘘つきシンデレラ



「ふざけんな!」




ビクッツ。




やっぱり怒るー。




さとみが怯える。




「俺が今日帰んなかったら、




どうするつもりだったんだ!」




社長がさとみの腕をひき、

 


バスルームに連れて行こうとする。




「あ、大丈夫です。




自分の部屋のほうでお湯入れ」




「いいから、入れー!」




「社長。大丈夫で」




これ以上迷惑かけられないよお。




バッ。




社長がさとみを抱きかかえた。






「キャ」




「こっちはもう沸いてんだよ。」




バスルームに運ばれるさとみ。




ジャグジー付きの大きなバスタブ。




暖かいお湯が張ってある。




「さっさと、脱げ」




「社長。ほんとに」




それ以上言わせない、怒りマックスの社長。




はーい。すいません。




ああ、湯気が…




バスタブから、湯量がどんどん上がり




ほかほか




湯気が上がっている。




あったかそう。




早く入りたい!




でも、かじかんだ手が




言うこときかない。




なかなか、パーカーを脱ぐことさえ、


 

ままならない。




出ていきかけていた社長が

 


イラついたように戻ってくる。




社長の手が、さとみを脱がせる。




パーカーのファスナーが下ろされた。




社長が手際よく、さとみの腕をぬいて




上着が下に落ちる。




社長の手が腰に来る




ジーパンのボタンを外し、




ジッパーに手がかかる。





こんなこと言うことじゃないって、




わかってる




わかっているけど





「社長…



恥ずかしいです」




社長に脱がされるがままの態勢で、




さとみがつぶやく。




さとみを見上げた社長は、




呆れたかお。




だってー。




こんな時に、ばかみたいなわたし。




わかっているんだけど。




でも、そう思っちゃうんだもん。





「わかったよ」




社長はそう言ったかと思ったら、




さとみを抱えて、




服のままバスタブに入った。



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