嘘つきシンデレラ



携帯の表示は、深夜2時を過ぎたころ。




社長?




うなされているような声。



そのかすれた声に



さとみは、社長の寝室の前で迷う。



だって、立ち入り禁止だし



でも、すごいうなされている声…



苦しそうな社長の声!



コップ一杯の水を持って



さとみはノックした。




「社長?」



あの日以来、初めて入る社長の寝室。



中央に置かれた大きなベッド。



カーテンの閉められた



広々とした薄暗い部屋で、




眠っている社長。




漏れる声。






その悲痛な声に、さとみは駆け寄る。


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