黒と白の境界線〜心理学者の華麗な事件簿〜
おまけに、二人がの死亡推定時刻の時間帯に駿河雅彦は家に一人でいたという。アリバイを証明できない。

「……捜査はあなたたちの仕事。私には関係ないわ」

京はそう言い、シャーロック・ホームズの本に目を通し始める。遼河は窓の外に目を向けた。

重苦しい空気が流れている。それも、永遠のように……。



次の事件が起きたのは、それから数日後のことだった。

「またしても、シャーロック・ホームズのトリックが使われている。今度は「オレンジの種五つ」だ!!」

末良刑事からの電話を受け、すぐに京と遼河は事件現場へと向かった。

「末良刑事が言っていた話って、「K・K・K」が登場するんですよね」

遼河がそう言い、京は「あら、あなたシャーロック・ホームズを読むの?」と少し驚く。遼河は小説は読むが、ミステリーはあまり読まないと前に話していたからだ。

「何となく知っています」

オレンジの種五つは、依頼者の父と伯父にK・K・Kという恐ろしい秘密結社に脅迫、殺害され依頼者のもとにもオレンジの種が五つ入った脅迫状が届く。ホームズは被害を食い止めようとするが依頼者は翌日遺体となって発見され、ホームズは脅迫状の消印から船乗りであることを推理し、犯人の乗った船を探し当てる。犯人に向けてホームズは復讐の手紙を送りつけるが、彼らの船は嵐に巻き込まれてしまい、ホームズの手紙は届かなかったというお話だ。
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