探偵さんの、宝物
 これは、まずいだろう。
 いくらなんでも。

 窓すら開かない薄暗闇の密室。

 自分より低い位置にある肩は、密接距離にあるため触れなくとも体温を感じる。
 視界の端にぼんやり見えるスカートから覗く白い膝は、僕の太股に触れていて、少し体勢を変えると擦れる。その度に、ぐわんと脳が揺れるような感じがした。
 膝の上に置かれた手は、ほんの十五センチ腕を動かせば掴むことができそうだ。

 僕は深呼吸に似た溜め息をついた。

 この時間がずっと続いて欲しい気もする。
 しかしそれはそれで、生殺しだった。
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