消えかけの灯火 ー 5日間の運命 ー
「俺は、過去に人を一人殺してる。殺人犯なんだよ。」
「…………え?」
「だから俺なんかを助けるために助言をする必要は無い。救おうとする必要なんか無い。だから俺のことは放っておいていーんだよ。」
凛の手は、俺の胸ぐらからゆっくりと離れていく。
ストン、とソファに座り直す凜。
凛の表情は、下を向いていて見えなかった。
「……あなたは人を殺めるような人じゃない。」
凛から出たのは、思わぬ言葉だった。
「そういう奴なんだよ。」
「違う。あなたは、むやみに人を殺したりなんかしない。私は知ってる……千歳は……」
「?」
そう言って、凛は口を噤んだ。
……と、その瞬間。
「とにかく!私はこれからあなたと一緒にいるから。絶対に、死なせない。」
顔を上げて、また真っ直ぐに俺を見た凛。
彼女は、諦めた様子はなかった。
何故か俺の発言をも振り払い、俺を守ると聞かなかったんだ。