消えかけの灯火 ー 5日間の運命 ー



「……どうしてそう思うのよ」
「俺は……」
「……どうしてそんなことが言えるのよ」
「…………俺が死んでも、責任感じんなよ。凛の言ってることが本当でも、凛は悪くない。」

俺がそう言った瞬間、凛はガタン!と机に身を乗り出して俺の胸ぐらを掴んできた。

「死んでいい人なんていない!!」
「……え、ちょ……」

思いがけなかった出来事に、俺は動揺を隠せない。

「あなたがなんでそう思ってるのかは知らない。だけど……あなたが死ぬのは、私が絶対に許さない!!」
「…………何言って……」
「あなたは死ぬの!絶対に、確実に、100%死ぬのよ!だけどそれを私がわかってる!私があなたに……千歳に伝えられる!助けられる!……死にたくなくても死んでしまう人は沢山いるの!助かるかもしれない命を放棄するなんて、私が絶対許さない!!私が私を許せない!!千歳、あなたは私が死なせない!!」

……なんで。
なんでだよ。
そんな鋭い目つきを見せるのに、なんでそんなに……瞳の奥は悲しそうなんだよ。
なんで俺なんかを助けようとするんだ。
その能力を、俺はまだ信じたわけじゃない。
だけどなんでこんなに、説得力があるんだ。
なんでこんなに、必死なんだ。
俺は、生きていていい人間じゃないのに。

彼女は、“人の死”をわかっていてそれを見捨てる自分自身を許せないのも大きく関係しているのだろう。
だけど、何故か俺が死ぬのを恐れているような、やっぱり怯えているような……そんな気がした。

でも俺は……
俺は、殺人犯なんだ。


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