悪魔になった天使

降臨せし神風家

闇の女性黒霧璃珈、優しさの具現体海風璃珈、鮫風家の時期当主鮫風璃珈この3人の命を狙う者の一人の女性が空から四人の姿を見ていた。
 「時は満ちた。こちらもそなたらのために宴を開いてやろう。お前たち分かっているな。」
 冷たい口調だが、どこか若さも感じ取れる声で後ろにひれ伏しているオークの群れに声をかける。
 「はい、ご主人様。我々はあの者たちを始末すればよいのでしょう。」
 「ふん、わかっているならよい。行け!我が手下ども。それと莉乃愛お前もだ。奴らと戦ってみよ。面白いと思うぞ。特に鮫風家の当主後権者はな。」
 右斜め後ろにいた女性にそう言って彼女は消えた。
 声をかけられた女性はその場に残って
 「はい、御姉様。あなた様の言いつけ通りに。」
 言葉だけを残してその女性もオークたちに続いて行った。
 山ではまだ四人で話していた。
 今後の動きや鮫風家の動きなど鮫風璃珈と海風が話している。
 その横では黒霧と火鉢がおとなしく話が終わるのを待っていた。
 「海、本当に璃珈名が生きているのなら、この先実の妹である璃珈名を殺さない限り、鮫風家同士の対立は終わらないってことよね。」
 鮫風璃珈が弱々しく発言する
 「おそらくは、でも、操られているだけなら、その傀儡士を見つけて殺せば解放されるはずです、輪名様以外の誰かが輪名様を操っているのなら、その者を見つけ出して殺さねば、璃珈名は解放されないと輪廻様が仰っていましたから。」
 そう、とだけ鮫風璃珈は呟くと空を見上げて実の妹の最後の瞬間を思い出していた。
 「あれが、最後でないのなら、まだ、救えると言うのなら助け出して今度こそ誰一人も死なせやしない。守り通す。それは、敵も見方も同じ、戦で死ぬよりも、その人の生涯が本当に終わるまではその人は死んでは行けない。」
 両手の拳に力をこめる。もう、これ以上の苦しみは要らないとそして、護れなかったモノを今度は護り通すと決意し、海風璃珈、片割れの顔を見つめ直した。
 「私は、貴方たちと共に行動することはできない。だけど、貴方たちの家臣だけは返すわ。まぁ、有力な人たちばかりで、それを返したら今の鮫風家は弱くなる。だけど、私がこの鮫風家を護るから、だから、鮫風家のことは構わなくていい。貴方たちの任務はその黒幕を探すことなら私はそれを応援します。」
 鮫風家時期当主として、その目にはもう迷いもない真っ直ぐな目をしていた。
 「そんなもの探すには至らないでしょ。だって、すぐ近くにもう来てますもの。」
 どこからか声が聴こえた。周囲を見渡すなか、空の表情が変わり黒い雲が立ち込めた。
 「誰!姿を現しなさい。」
 笑い声と共にその姿は彼女たちの真上、空から現れた。
 「ごきげんよう。鮫風家時期当主とその家臣の皆様。神に選ばれし者の一人、我が名は神風莉乃愛ともうします。何卒お見知りおきを。」
 右腕を回し腰を曲げお辞儀する。
 その背中には黒い翼が生えていた。
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