mariage~酒と肴、それから恋~《7》
桧周重工って確か、船とか飛行機とか列車とか?よく分かんないけど色々造ってる。

工場勤務ってことは作業着だから、行き帰りはラフでOKなんだ。

家近くて、常連なら、またここで会える…?

「加地くん、寡黙だけど、礼儀正しくて良い子だし、それによく見ると結構イケメンでしょ」

「…そうだね」

「加地くん、どう?」
栄子さんが意味深にニコリと笑った。

どう?って、ないない。

あたしは明るく笑顔を返す。
「どうって、どうもしないし」

だって加地くん、結婚とか興味ないって言ってたばっかじゃん。

色気も何もないこんな店で、何が生まれるっていうのさ(笑)

中華料理店のすぐ近くの駅前のコンビニへ向かう。

餃子食べたあと必ず買うものがあるから。

コンビニのジュース売り場に行くと、見覚えのある人が横を通った。

「あれ、加地くん!」

今さっき中華料理店を出たばっかで、偶然鉢合わせ。

向こうも、ああ、って気づいて軽く会釈してくれる。

会うなんて思いもしなかったから、ソワソワしてしまう。

あたしは目当てのリンゴジュース(紙パック)を手に取る。
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