mariage~酒と肴、それから恋~《7》
やりがいあるからこそ、仕事以外興味がないのかな…。

一人で納得してたら、加地くんは前を向いたまま口を開いた。

「なごみちゃんのが凄いと思うけど」

ーーえ?すごい?あたしが?
しかも、今あたしの名前呼んだ?

まぁ、散々、栄子さんからも名前呼ばれてるから知ってるだろうけど。
あたしも勝手に加地くんって呼んでるし。

「凄い?あたし普通の営業だよ」

「俺には無理」

「そう?所属部署は自分で選んだ訳じゃないんだけど、人と接する仕事はあたしには向いてるとは思う…かな。
あたし人見知りあまりしないからね」

「ああ、そんな感じする。よくしゃべるもんな」

「あら、ありがとう。誉められたと思っときます」

わざと前向きにとらえてニッと微笑んで見せると、加地くんは横目であたしを見て、少し笑って言った。

「誉めてる」

些細な会話に、わずかな笑顔。
それだけなのに…。

「…あ、ありがと」

胸の奥が動揺している。
次の言葉がすんなり出てこないくらい。

どうしよ、何か言わなきゃ、沈黙してしまう。

「なごみちゃん、杏仁豆腐食う?」
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