mariage~酒と肴、それから恋~《7》
「栄子さん、もー、何言って…」
…そんなこと言われたって加地くんも困るでしょうよ。

「おかみさーん、注文いい?」客から声がかかり、
「はーい!」無駄話をやめて、栄子さんは仕事に戻った。

隣に座る加地くんを横目で見る。

食事は終えたよう。
チューハイのグラスを手に、ふと考えこむ表情で視線を漂わせ、
「うちの会社も既婚者多いな…。
だから、紹介できるの俺くらいしかいねーわ」
一人言のように単調に、さっきの話の続きをした。

「世の中既婚者ばっかりだよねー…」
も~、やんなっちゃうわ。
どこにいるの、あたしの独身男子。

杏仁豆腐のほんのりした甘さを堪能する。
ミニサイズだから、すぐなくなっちゃう。
悲しい。

残ったレモンチューハイを飲みきると、加地くんは無言であたしに視線を向けた。

探るような意味深な目に見えて、思わず身構えた。

…何?

「じゃあさ、」と、切り出した加地くんの薄い唇がとんでもないことを言い放った。

「結婚、俺にしとく?」
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