mariage~酒と肴、それから恋~《7》
まるで昔から知ってるような馴染みの良い手の感触に、力が抜けた。
わずかに残った迷いなんて、霧が晴れ渡るように、さーっと消えた。

こんな簡単でいいんだ?

信じられない気持ちで放心していると、視界に影が落ちる。

顔を傾けて近づいてきた。
もしや、キス?!

あたしは慌てて自分の口を手で覆い隠す。
「ちょっと待って!あたし餃子食べたし!」

「何のために、リンゴジュース飲んだんだよ」
無表情の顔の上に、笑みが広がっていく。

今日一番良い笑顔で笑う加地くんに見とれる。

「そ、それは…」

戸惑っていると、繋いだ手にギュッと力を込められた。

観念してギューッて目をつぶってる間に、チュッと触れた唇が湿る。


ドキドキした。

顔が離れても、恥ずかしすぎて加地くんの顔が見れない。

「…ねえ、そういえば、加地くん下の名前何ていうの?」
照れくささを紛らわしたくて、今さらの質問をした。
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