冷徹社長の初恋
「絲。俺はまだまだだったな。俺の提案では、あくまで社会科の工業の勉強でしかない。絲達教師は、教科の学習を通して、いや、きっとそれ以外にも学校生活の全てを通して、生き方を学ばせているんだな。
絲……俺も、絲のような教師に出会いたかったな」

「やっ、ちょっと春日さん。私のことを持ち上げ過ぎですよ。私、そんな大そうな人間なんかじゃないですから」

あまりの持ち上げられ様に、焦ってしまう。春日さんの方が、よっぽど尊敬できる方なのに。気恥ずかしくて俯いていると、ふわっとした温かさに包まれた。

えっ……

いつの間にか私の隣に移動してきてきた春日さんに、優しく抱きしめられていた。

「か、春日さん?」

「すまん。少しこのままでいてくれ」

言われるまま、じっとしていた。
ドキドキきすぎて、春日さんに心臓の音を聞かれてしまいそうだ。

春日さんは、どうしてこうやって私を抱きしめるのだろう。春日さんの感情表現なんだろうか……

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