冷徹社長の初恋
「教科の勉強は確かに必要なんですけど、大事なのは、それら全てを通して、どう生きていくかという、生き方を学ぶことだと思ってるんです。教科書や画面を通した学習だけじゃなくて、実際に目の前で学べたら、本当の意味で子ども達の力になると思うんです」

言い切ってふと我に帰る。
熱弁していたことが妙に気恥ずかしくて、そっと上目がちに春日さんを伺い見た。その途端、驚きで目を見張った。
春日さんは目を見開いたまま、固まっていた。
こんな春日さん、初めて見る。

「えっと……春日さん?」

「ああ、すまん」

「どうかされましたか?」

「いや。絲があまりにもすごくて……驚いた。〝すごい〟なんて、陳腐な言葉しか思い付かないほど、絲に圧倒された」

「あ、圧倒されただなんて。なんだか一人でベラベラ語ってしまってすみません」

「いや。謝るようなことは何もない。むしろ、俺は感謝したいぐらいだ」

春日さんは私を、尊敬するかのように見てくる。

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