冷徹社長の初恋
春日さんの連れてきてくれたのは、少し奥まった所にある、静かなお店だった。
カウンター席に案内されると、握られていた手が離れて、なんだか少し寂しく感じてしまう。

「絲、おまかせでいいか?」

「はい。お願いします」

こんな高級なお店は来たことがないし、好きなものを頼めと言われても、何がなんだかさっぱりわからない。おまけに、どこにもお値段が書いてないあたり、もう恐怖でしかない。

目の前で、大将がお寿司を握る。流れるような動きは洗練されていて、おもわず見惚れる。

おまかせで出されたお寿司はどれもおいしくて、夢中になってしまう。

「気に入ったか?」

「はい。こんなにおいしいお寿司は、初めてです」

私の言葉に、春日さんは満足そうに頷いた。


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