冷徹社長の初恋
目を覚ますと、見知らぬ部屋にいた。
えっと……私、どうしたんだっけ?と、身をよじると、私の体に巻き付けられていたたくましい腕が、ぎゅっと抱きしめてきた。まるで、離れるなと言われているみたいに。
そうだ、私、春日さんと……
何度も求められた、あまい時間を思い出して、頬が熱くなる。

「絲、起きたか?」

「は、はい」

「悪い。無理させすぎたな。絲があんまりにもかわいくて」

「そ、そんな……恥ずかしいです」

「照れる絲もかわいいな」

抱きしめられているから逃げることもままならず、彼の胸元に顔を埋めた。剛さんは、優しく私の髪を撫でている。

「絲、好きだ。俺の恋人になってくれないか?」

不意に耳元で、囁くように言われて体が震える。

「わ、私も、春日さんのことが好きです」

「こら、絲。春日さんにもどっているぞ。さっきはあれほど情熱的に、俺の名前を呼んでくれていたのに」

「ご、剛さん」

必死の思いで呼ぶと、剛さんはくすくす笑っていた。


< 140 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop