冷徹社長の初恋
「すっかり夕方になってしまったな。絲、お腹すいただろ?何か食べに行くか?」

シャワーを浴び終えると、剛さんに話しかけられた。

「それなら、何か作りましょうか?」

「絲が作ってくれるのか?」

「はい、もちろんです」

剛さんの部屋のキッチンはとても広くて、新品のように綺麗だった。たぶん、使っていないんだろうなあ。

そして、広いのはキッチンだけじゃない。お風呂も、リビングも、何もかもが広くて豪華だった。家具は黒で統一されていて、余分な物が一切ない、剛さんらしい部屋だった。

「だが……うちには道具もそろっていない。俺は一切やらないからな」

「でしたら、材料を買いながら、私のマンションに行きますか?剛さんの部屋に比べたら、恥ずかしいぐらい狭いんですが……」

「いいのか?」

途端に嬉しそうな顔をした剛さんが、なんだかかわいくて笑ってしまう。

「はい。いいですよ」

二人で連れ立って、剛さんの部屋を後にした。駐車場に向かう間中、剛さんは私の手を握っていた。なんだか、剛さんが手を繋ぐなんて意外だ。


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