冷徹社長の初恋
定時を少しすぎた頃、川原先生にいわれて荷物をまとめると、一緒に学校を出た。

「町田さん、今日は車で来たから、校区から離れたところに行こう。やっぱり、この辺りは知っている人の目が気になるからね」

川原先生に促されて、助手席に乗り込んだ。
川原先生の車に乗るのは、2回目だ。前は……確か私の歓迎会の時だった。先生は出先から車で来ていて、帰りに数人一緒に送ってもらった。

学校の周辺は都内とはいえ、まだまだ緑もあって、畑も見られるような所だ。川原先生は、それより少し都会に向かっているようだ。

「あの……どこまで行くんですか?」

「そんなに遠くないお店だよ。町田さんの話を聞きたいから、個室のあるお店に予約を入れておいた」

「川原さん、私近場でも……」

「遠慮しないで。僕が町田さんを連れて行きたいと思っただけだから。昨日からずっと沈んでるでしょ?おいしいものを食べて、元気を出そう」

川原先生らしい優しい微笑みに、私も素直に頷いた。

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