冷徹社長の初恋
その後、川原先生に押し切られるように、自宅まで送ってもらった。

「今日は、ありがとうございました。それに、ごちそうさまでした」

「気にしないで。僕は君の上司だからね。明日は元気な顔を見せてよ」

「はい。それじゃあ、おやすみなさい」

「ああ」

川原先生の車を見送って、部屋に入った。
なんだか、急にいろいろなことが変わってしまったようで、心が追いつかない。
川原先生が私を好きだとか、剛さんが知らない女性といたとか……
私が剛さんに騙されているかもしれないとか……

剛さんのことを信じたいのに、電話で聞こえてしまった女性の声がそうさせてくれない。
信じたいのに、何があっても信じられるというには、彼とすごした時間が短すぎる。
私、剛さんのことを知らなさすぎる……


剛さんは忙しかったのか、今夜は連絡が来なかった。
忙しくしてる……?
誰かとすごしているから?
疑心暗鬼になった、マイナスな思考が止まらない。
でも、自分から連絡する勇気もない。

付き合っているのに、そんな勇気も出ないなんて……本当にこれでいいのだろうか……







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