冷徹社長の初恋
「絲から離れろ」

「できません。町田さんを泣かせるような人に、彼女は渡せません」

「泣かせる?」

「そうです。あなたのせいで、町田さんは傷ついている」

「どういうことだ?」

剛さんが探るような視線を私に向けてきた。でも、なんて言ったらいいのかわからず、俯いてしまった。

「さっきだって、女性と腕を組んで歩いていましたよね?」

「見てたのか?」

再び剛さんが私に目を向けるのがわかった。
私が何かを答える前に、川原先生が話し出す。

「僕も町田さんも、たまたま見てました。
あなたは、町田さんを遊び相手の一人に加えたいだけなんですか?だとしたら、辞めていただきたい。町田さんは、僕がもらいます」

「勝手なことを言うな。絲から離れろ」


「か、川原さん。私、ちゃんと話をします」

「大丈夫か?」

「はい」

川原先生の前に出ると、剛さんと向き合った。

「剛さん。さっき一緒にいた女性は、どういう人なんですか?それと、先日私に電話をくれた時、誰といたんですか?剛さんを呼ぶ女性の声が聞こえましたけど」

勇気を出してそこまで言い終えると、徐々に気持ちが落ち着いてきた。
剛さんは、少しだけ目元を緩めて、私と向き合った。

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