冷徹社長の初恋
「剛さん、私の部屋でもいいですか?」

「今の俺を入れてくれるのか?」

「はい。落ち着いて、ちゃんと話をしたいので」

先週のあまい時間が嘘のように、緊張感を纏いながら部屋に入った。
向かい合わせに座ると、剛さんが話し出した。

「絲。疑われるようなとこを見せてすまなかった」

剛さんは、しばらくの間頭を下げていた。
そして、ゆっくり顔を上げると、溢れる気持ちを押さえ込むように、小さく息を吐いて話し出した。


「まず、電話の時のことから。取引先との接待に行ったら、そういう女性のいる店だった。もちろん、清水もいた。いい加減、そんな接待は無くなったと思ってたんだがな。あまりに嫌気がさして、気分を変えようと絲に電話をしたんだ。滞在時間は20分にも満たない。先方に、こういう接待をする相手とは仕事ができないと告げて、早々に店を後にした。
俺の言葉だけでは信じられないだろうから、清水にも証言させる」

そう言うと、おもむろにスマートフォンを取り出して、電話をかけ始めた。


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