冷徹社長の初恋
コーヒーを飲みながら外を眺めていると、春日さんはすぐにもどってきた。

「絲。この授業参観に、俺も行かせてもらうことにした」

「えっ?」

春日さんは、いったい何を言い出したのか……

「今、清水に言って、来週の土曜日を空けさせた」

「ど、どうして……」

「自分の会社の工場を見学してもらって、それで終わりというのは、考えてみたらおかしな話だ。その見学が、今後どう生かされて、そこから何を学んだのかまでを知らなかったら、ただ見せただけで終わってしまう。
でも、その先を知っていれば、見せる側の意識も変わる。見学コースやその後の質疑応答も、一層意図的なものになるはずだ。
それに、うちとしても、将来有望な子ども達に興味を持ってもらえたら、人材確保につながる可能性もある」

なんか、壮大な話になっているような気がする。
でも、見学をする側だけでなく、される側も意図を持って公開するのは、確かに良いことだと思う。

「確かに、春日さんの言われることも、もっともな話ですね。私、今まで見学する側のことしか考えたことがありませんでした。
ただ、参観に児童の身内の方以外が入れるかどうか、私では判断できないので、少しお待ちいただけますか?副校長に連絡をしてみますので」

「ああ、かまわない」

入れ替わるようにして、今度は私が席を離れた。


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