冷徹社長の初恋
「その日は、何時までの勤務になるんだ?」

「一応、定時の17時15分までですけど、こういう日は、早めに帰らされることが多いです。いつも残業ばかりだから、たまには家族サービスでもしなさいって」

春日さんが、怪訝そうな顔をした。

「絲は……結婚しているのか?」

「えっ?」

思いもよらない質問に、変な声が出てしまう。

「いえいえ。独身ですよ」

「そうか」

私の返答に、春日さんはなぜかホッとしたように息を吐いた。

「休日まで忙しそうだが、付き合っているやつはいるのか?」

「い、いいえ。今はいませんよ」

「今は?いたことはあるのか?」

なんでこんなことを聞くのだろうと思いつつ、真剣な春日さんの視線に、話さざるを得ないと感じた。

「学生の頃はいましたよ。でも勉強が大変で、それどころじゃなくなってしまって。今も、まだまだ新人で、仕事で手一杯で余裕がないんです」

なぜか焦って、聞かれてないことまで口走ってしまう。

春日さんは、優しい笑みを浮かべていた。

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