冷徹社長の初恋
「絲らしいな。仕事に打ち込めるのはいいことだ」

「私としては、もう少し余裕を持って生活したいんですけど……」

「土曜日は、何時に出られそうか?」

突然、春日さんが話を戻した。

「その後、見学のことで絲と話がしたいのだが」

「えっ?話……ですか?」

「そうだ。現場で働く、絲の話が聞きたい」

「そういうことでしたら、私よりも川原先生の方がお役に立てるかもしれません」

「川原?」

「見学の時に一緒に伺った、もう一つのクラスの男性教員です。私の指導教員でもあるんですよ。川原先生なら経験豊富ですし、適してると思います」

「ああ。確かにあの場にいたな」

なんだか、春日さんが不機嫌そうな顔をしている。見学の時は、威厳ある表情のままで感情の出ない人だと思ったけど、こうして話していると、意外と表情が多くて驚いた。

「川原先生に、話を通しておきますよ」

「いや、いい。俺は絲の話を聞きたい。経験の浅い絲だからこそ、先入観に囚われない、新鮮な捉えができることもある」

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