冷徹社長の初恋
もちろん、そんなわけにはいかなかった……

春日さんは意外と早く……というか、たぶん、時間になるずいぶん前には来校していたと思う。校長室で話をしてたからか、冒頭にはいなかったけど。それでも早い段階から入室していた。

その存在感が半端なかった。長身でガッチリした体つきでに、凛々しい整った顔。
とても保護者には見えない。
それは、他の保護者も感じたようで、チラチラ見ているのがわかった。

私はというと、春日さんが入室した時に、ばっちり目が合ってしまい、爽やかな笑みを向けられて、頭の中が一瞬真っ白になってしまった。

子ども達の発表がメインでよかった。そうじゃなかったら、考えていた問題提示の言葉も、これだけは引き出したいって思っていた子どもの言葉も、全部とんでいたんじゃないかって思う。それぐらい春日さんの存在と、あの笑みは破壊力満点だった。

なんとか申し訳程度の笑みを……いや、うなずいたぐらいにしか見えないような反応を返して、授業を進めた。
案内をしてきた校長は、途中で春日さんに促されたようで、彼を残して退室していった。

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