冷徹社長の初恋
「なるほど……やはり、今日は来てよかった。教科書だけでどこまでのことを学んでいるのかを知っていなければ、見学で同じことしか伝えられていなかった恐れもある。それではせっかく来てもらっても、あまり意味がない。
子ども達は、未来の大切な人材だ。ここでしっかり我々の仕事のやりがいや、魅力を伝えていく必要がある。
そのためには、学校内での学習を超える必要がある。それを知るための、重要な時間となった。ありがとう」

春日さんの真剣な言葉に、私は感動していた。
会社にしてみたら、見学はおまけのようなものかもしれないと思っていた。ここに工場を構えることを理解してもらうための慈善事業というか……それが、社長自らこんなにも前向きに考えてくださるなんて……

「そんなふうに考えていただいて、ありがたいです。来年度以降もよろしくお願いします」

頭を下げる川原先生にならって、私も一緒に頭を下げた。

「もちろんだ。より充実した見学になるよう、社内で検討していく」

それから春日さんは、もうしばらく教室を眺めていた。


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