続・カメレオン王子とひとりぼっちの小鳥ちゃん
◇◇◇


「裕章(ひろあき)さん、
 俺、休憩に入ってもいいですよね?」


 俺は、美容師の午前中の仕事を済ませ、
 店長の裕章さんに聞いた。



「礼音、琴梨ちゃんの読み聞かせを
 見に行ってくるんだろ?
 琴梨ちゃんは知っているのか?
 礼音が来るって」


「知らないですよ。
 言ってないですから。
 琴梨にばれないように見てるのが
 良いんですって。

 子供たちに絵本を読んであげてる時の、
 琴梨のあの表情、
 本当にかわいいんですよ。」



「琴梨ちゃんが礼音の彼女で良かったな。
 彼女じゃなかったら、
 ストーカーで警察に捕まっているな」



「俺って、そんなやばい奴ですか?」



「ま、琴梨ちゃんのことを考えて、
 街中でスキップしなくなっただけまだましか。
 で、大丈夫なの?時間は」



「やべ!琴梨を見る時間が減っちゃう。
 裕章さん、休憩行ってきます。」



 俺は慌てて美容院を出ると、
 自転車にまたがり、図書館に向かった。

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