続・カメレオン王子とひとりぼっちの小鳥ちゃん
☆礼音side☆
次の日。
開都の家から美容院に行って、
いつものように働いた。
午後8時。
閉店の準備をしていた時に、
裕章さんが俺に話しかけてきた。
「礼音さ、琴梨ちゃんと何かあっただろ?」
「え?なんでですか?」
「そりゃ、
暇があれば琴梨ちゃんの話をする礼音が、
全くしなくなったからな」
「別に……
何もないですけど……」
「礼音ってさ、嘘つくのが下手な。
それに、昨日お前が帰ったあと、
店の前にいたぞ。琴梨ちゃん」
「え?」
「大粒の涙ポロポロ流してさ」
昨日琴梨が……ここに来ていたのか?
だって、俺が何時に終わるかなんて、
琴梨はわからなかったはず。
こんな真冬の外で、
俺のことをずっと待っていたってことか?
昨日の帰り、
話したいって琴梨からメールが来た。
でも、嘘をついた。
まだ仕事中だって。
「礼音たちの恋愛に
口出しするつもりはなかったけど、
さすがに、
あんな辛そうな琴梨ちゃん見ちゃったら、
ほっとけなくてな」
「教えてくれて、ありがとうございます。
俺、もうあがってもいいですか?」
「おう。礼音、お疲れさま」
俺は急いで自分の荷物をつかむと、
必死に自転車をこいで家に向かった。