続・カメレオン王子とひとりぼっちの小鳥ちゃん
「私、礼音くんと付き合っていたこの2年3か月。
礼音くんに嫌われないように
毎日ビクビクしたいたんです。
だから……
礼音くんが喜ぶことをしようって
自分で決めていました」
「喜ぶことって?」
「私が可愛くなると、
礼音くんが褒めてくれるんです。
だから、着ると落ち着く地味な服じゃなくて、
無理してでもモデルさんが着ているような
服を買ってきて……
小説を読むより、
ファッション誌を読んで。
夜眠たくても、
礼音くんが帰ってくるまでは絶対に起きていて。
帰ってきたら、すぐに玄関まで飛んで行って。
苦手な料理も、毎日違うおかずを用意して」
「琴梨はすごいわ!
私にはそんなこと、できないな」
「今までは、なんとも思ってなかったんです。
私が礼音くんのために何かすれば、
絶対に礼音くんは笑って褒めてくれていたから。
でも、礼音くんが出てってから、
思っちゃったんです。
いくら礼音くんの好きな女性に
なりきろうとしても、
こうして嫌われちゃったりするんだって。
そう思ってからは、
礼音くんの好みの女性に、
なりきれなくなっちゃいました。
だから今、こんな感じなんです」
「そうね。琴梨と礼音くんは、
合わないかもしれないね」
「そうなんです。
礼音くんとは、釣り合ってなかったんです」
「何言ってるの?
琴梨は本当に魅力的な女性だと思うよ。
礼音くんにはもったいないくらい」
「そんなことありませんよ。
それに言ったじゃないですか。
礼音くんと私は、合わないって」
「釣り合わないじゃないからね。
この先一緒に生きてく相手として、
合わないって言ってるの。
琴梨はもっと自分に、自信を持った方が良い。
あ、そうそう、忘れるところだった」
「何がですか?」
「今日琴梨をここに呼んだのは、
琴梨に紹介したい人がいたからだった」
「え?」
「礼音くんと別れて、
今にも倒れそうなくらい弱っている琴梨を、
私が放っておくはずないでしょ。
琴梨を幸せにしてくれそうな人を、
私が見つけておいたから」
「え?え?
いきなり紹介って……
今はそんな人、いいですから」
「年上で、包容力があって、イケメンで。
しかも本好きなの。
そんな人、
琴梨に紹介しない理由がないでしょ。
私のいとこなんだけど、
今から一緒に、いとこの家に行こう!
琴梨を連れていくって、言ってあるから」
「そんな……急に言われても……」
「大丈夫。琴梨、私のこと好きでしょ?」
「好き……ですけど……」
「そのいとこね、性格も私に似ているのよ。
ね、相性バッチリっぽいでしょ」
「翼先輩……ごめんなさい……」
「とりあえず会うだけだよ?
嫌いだったら、
遠慮なく私に言ってくれればいいから……」
「好きなんです……」
「え?」
「嫌われちゃったってわかっているのに……
まだ礼音くんのことが……大好きなんです……」
その時、
誰かが横から、私をぎゅーっと抱きしめた。
「琴梨はだれにも、渡さないから」