続・カメレオン王子とひとりぼっちの小鳥ちゃん
☆琴梨side☆
「ただいま」
私は仕事を終えると、
買い物を済ませ家に帰ってきた。
もう午後の6時を回っている。
早く料理を作らないと、
礼音くんとゆっくりできる時間がなくなっちゃう。
あれ? 礼音くん。
家にいるよね?
「ただいま」と言ったのに、
返事がないから心配になったけど。
ん?
なんかいい匂いがする……
私がキッチンのドアを開けると、
エプロン姿の礼音くんが、包丁を持っていた。
「え?料理?」
「今日は俺が作ることにした」
「だって、今日は礼音くんのお誕生会だよ」
「いつも琴梨が作ってくれてたじゃん。
それにさ、俺が作っておけば、
琴梨とゆっくりできる時間が増えるだろ」
私と同じこと……
考えてくれていたんだ……
嬉しくて、胸が温かくなった。
「あと、これを盛りつけたら出来上がるから。
琴梨は座って待っていて」
言われたとおりに、手を洗って、
ダイニングテーブルに向かった。
「すごーい!
おいしそう!!」
「今日も寒いからさ、
あったかい料理が良いかなって思って。
琴梨、クリームシチュー大好きだろ?」
テーブルの上には、
野菜がゴロゴロ入ったクリームシチュー、
サラダが置かれていた。
「あとは、このフランスパン。
デルトってパン屋知ってる?
お客さんがこの前、
おいしいって言ってたからさ」
「私も噂では聞いたことあるけど、
そのパン屋さん、車で1時間はかかるでしょ。
買いに行ってくれたの?」
「ああ。
しかもさ、オープンと同時に行かないと
売り切れるって聞いたからさ、
琴梨が仕事に行ってすぐに、買いに行ったんだ」
「料理も作ってもらって、
パンを買いに行ってくれて……
礼音くんのお誕生日のお祝いなのに、
私……何もしてあげてない……」
「琴梨、そんな顔するなって。
喜ぶ顔が見たかったんだからさ、お前の」
「うん。すごくすごーく嬉しい。
礼音くん、ありがとう」
私が微笑むと、
礼音くんがいきなり私を抱きしめた。
「本当にかわいい。琴梨って。
後でゆっくり、かわいがってあげるから、
とりあえずご飯食べよっか」
礼音くんは私を見つめて、ニヤリとわらった。
私は恥ずかしくなって、
礼音くんの胸に顔をうずめた。