金魚占い ○°・。君だけ専用・。○.
  何……?! 私、どんな夢なの?

いくら周りを見渡しても…この部屋に広斗がいるはずもなく…。

いくらリアルに感じたからといって…もちろん、唇の感覚もキスの味も…夢にすぎない。


し…信じらんない。私って、欲求不満?!


いや……直接見てないにしても、神社で広斗と美結さんのあんな場面に居合わせちゃったばっかりに……それにその後に、瑠璃に抱きしめられて………。

おかしな状態で脳の配線がショートしたらしい。まだ心臓がドキドキしておかしな興奮状態にある。

こんなにはっきりと広斗の声が耳に残っているというのに…自分の夢だった現実に恥ずかしくなる。

み、水……水。

暑さとドキドキとで熱中症になりそう。

私が部屋の扉を開けると、ダイニングの方からいつもより少し柔らかいママの笑い声が響いた。

相手は男の人のようだ。

男の人の笑い声がママの笑う声につられる。

「はははっ……はあぁ…菜乃花っ。」

「あっ。あの…こんにちは、初めまして…お邪魔させてもらっています。」

男の人は遠慮がちに頭を下げる。

「ごめんね。菜乃…突然で。
あ…と、最近…仲良くさせてもらってる山野さん。」

「山野です。どうも…。」

歴代の彼氏とは違うタイプの少し小太りではあるが…優しそうな人。
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