金魚占い ○°・。君だけ専用・。○.
第5章 海鳴り

○°。°会いたいということ°○*。

「菜乃花…どうしたら…?
どうしたら、君を目覚めさせられる?」


    広斗…?広斗……だよね?


「俺に…何ができる?」


   何っ…て?(笑)
  

「どうしたら、俺を見てくれんの?」


私はまだ眠りの中で微睡みながら、広斗の低い声に返事をしようとするけれど…ひどい睡魔に縛られて、指先すら動かせない。

ぼんやりする脳裏で、広斗の気配をとても近く感じる。

甘いホワイトムスクの香り…

広斗が少し動くたびに…シーツの擦れる音。
心地の良い広斗の肌の温もり。

シーツ…?

温もり…?

えっ…… 唇。

私の唇に柔らかい感触が触れる。

ぼんやりした視界にくすんだ金色の前髪が揺れて…微かに頬に触れるのは広斗の鼻筋。

広斗のシャープな見た目とは裏腹に…柔らかい唇を感じて、私は跳ね起きた。

「……うそっ!広斗っ!?」

今、すぐ側に広斗がいたはず…そして…

唇………。

キスの感覚。

甘い感覚。

私は夕日の沈みかけた自分の部屋のベッドの上で荒い息を整えた。

冷房も入れずに眠ってしまったせいか…身体中、汗ばんでじっとりしている。

しんとした部屋。

ぷにょにょのエアポンプの音だけが、ブーーンと作動している。


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