金魚占い ○°・。君だけ専用・。○.
その時、奥から微かに物音が聞こえて…私は思い出したかのように、暗い廊下の先にある瑠璃の部屋に目を向ける。

「 瑠璃っ…。誰かいるの?誰か…いますか?」

扉の隙間から細く光が零れるのを見つけて、走り寄る。

私は一呼吸…息を吸い込むと思い切って、パッと扉を開いた。



   瑠璃………。


そこには、いつも通りの瑠璃の笑顔があった。


「 ……会いたかった。」

「(笑)何だよ。どうした…?」

「 だって……だって……みんな、この商店街が………。」

「 シッ! 菜乃、黙って…。倒れる!」

「 えっ……?」

「(笑)ホラっ。ちょうど、完成!!
LOVEジェンガっ!!」

瑠璃は、そう言うと…くすんだ緑色の髪をかき上げて、タワーの天辺にブロックを置いて私を見た。

まるで私がここへ来ることを知っていたかのように……クスッと笑って。

「ジェンガの続きをしよう。」

「 ……瑠璃……。」

「 嘘は無しだよ。」

「 ……(笑)」

「 一回、休みもだよ。」

「(笑) うん。」

「(笑) 菜乃からどうぞ。レディーファーストっ!」

私は、デスクの上に積み上げられたタワーに近づく。
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