金魚占い ○°・。君だけ専用・。○.

°○*。° 熱帯夜 °○*。°

         ○・

         • ○

          ・ 。


「ある少年の初恋の話だよ。(笑)」

「 ………わかった。」

「少年には傷があったんだ。身体にも…心にも。
小さい頃に、火傷をしてね。」

「左……肩から腕に…かけて?!」

私は、真っ直ぐに彼を見つめる。

「いや……それだけじゃないよ。
顔にもあった。
少年の顔の半分にも肩と同じように傷があったんだ。
よ〜く見るとね、とても可愛い顔をしてたはず。(笑)瞳は光の加減で少し瑠璃色がかってて…。
けれど、醜い傷のせいで小さい頃からよくいじめられてたんだ。」

「 ……………。」

「制服も、カバンも…新しいまま…高校へは一度も行かなかった。」

瑠璃はとても整った顔で……とても美しい顔で私を見る。

真っ直ぐに……

そして真剣に。

「行けなかったんじゃなくて、行かなかった。」

私は、ふっとデスクの横にかけられた渚高の制服に目を向ける。

真新しい制服。

真新しいカバン。

それから…瑠璃の強い眼差し。


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