金魚占い ○°・。君だけ専用・。○.
「でもね、少年には夢があった…いつかここから飛び出して世界を…広い世界を見てみたいって。
だから、バイトを掛け持って…顔の傷の治療をしようと思ってたんだ。

まずは…100年絵馬に願い事を書いてみたりしてね。(笑)

傷が、治りますように…

夢を叶えたい。

恋がしたいってね。

欲張りだよね。(笑)」

「………瑠璃。」

「ずっと…願ってた。」

「………ずっと……。」

「うん……ずっと。
そして、僕の前に突然…1人の女の子が現れた。」

「………………。」

「 “あのーーーーって。”(笑)
勝手に、僕のイヤホンを外すんだ。

僕にしか聞こえない。僕にしか見えない世界から……彼女は僕を連れ出したんだ。

小さくて古い金魚屋から…僕を連れ出してくれた。」

私は震えるくらいの大きな息を、静かに吐き出す。

「僕はここから離れる事が出来なくて、長い長い間…明けない夜を繰り返していたんだ。

けれど、

思い続けると夢は叶うんだ。

夢を叶える力は、自分の強い想いだって……

菜乃に会えて証明された。」

「ある……少年の話…でしょ。」

「そう…ある少年の初恋の話だよ。
少年はすぐに彼女に恋をした……。
正直言うと、一目惚れだったのかもしれない……。」

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