金魚占い ○°・。君だけ専用・。○.
私はそっと…タワーの1番上のブロックを手に取る。

「瑠璃……。“ 愛を囁く” だって…。」

私は、ブロックの言葉を瑠璃に伝える。

「少年は…よく分かってた。
彼女の心にも傷があって……、恋をしたり…愛を囁くことは、彼女を苦しめる事になるって。」

私の瞳から大きな涙の粒が零れる。

瑠璃の気持ちに薄々気づいていて……そんな私を深い想いで支えてくれた瑠璃の優しい愛情に、涙が止まらない。

「瑠璃…私ね、信じることが怖いんだ。
恋することが…とても怖い。」

「 ………菜乃、わかってる。」

「でもね、今…私、瑠璃に会いたくて…会いたくて、心配で…心配で。
菜乃にとって、瑠璃はとても大切な人だって、会いたいってことは…そういうことなのかなって……。」

「菜乃……ありがとう。
少年は…僕はもう十分なんだ。十分すぎるくらい幸せなんだ。
会いたいって言ってくれて、想ってくれて…ありがとう。」

そう言うと瑠璃は私を抱きしめた。

はだけた白いシャツから肩のケロイドの傷が覗く。

ぎゅっと私を抱きしめる瑠璃の背中に手を回す。

傷ごと……丸ごと瑠璃を抱き締めたくて、私は力いっぱい…全力で瑠璃の傷を抱きしめた。
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