金魚占い ○°・。君だけ専用・。○.
「あっ…そうそう…このお花、さっき広斗君が……えっと…二宮君っていって、菜乃花のことをプールで助けてくれた男の子がいてね、持ってきてくれたのよ。」

「 ……広斗…?二宮広斗。」

私は思わずハッとしてベッドの脇、サイドテーブルに視線を向けた。

花瓶に生けられたミニひまわり。

その傍らには、安産の御守りと広斗にあげたはずの金魚の包み紙の飴玉。

黄色の包み紙……

そっと手を伸ばして飴玉の色を確認する。

中身は透明な水色の飴玉。


“未来の幸せ”


「コレ…私が神社で広斗にあげた…。」

「…??菜乃…?知ってるの?広斗君のこと……。」

「あっ……う、うん。
でも、私…ずっとここで眠ってたんだよね。」

「広斗君、菜乃が溺れたあの日から…ずっと、ほぼ毎日…お見舞いに来てくれてるのよ。
礼儀正しくて、とってもいい子。
見た目も…素敵だしね(笑)
忙しいにもかかわらず、仕事帰りに毎日…ついさっきまでここに居てくれてたのよ。」

「 ……広斗っ!!」

私がガバッと起き上がると、勢いで点滴の針が腕から抜けた。

「な…っ菜乃?!」

「広斗が、ここに…?ママ、広斗がいたの?」

「……うっ…うん。」

「広斗っ。…瑠璃っ!」

頭の中で強い突風と光の中で、渦巻く煙のように消えていく瑠璃を思い出して私は跳ね起きた。

「む、村瀬さん?……菜乃花ちゃんっ!!」
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