金魚占い ○°・。君だけ専用・。○.
「私、ここへ…瑠璃に会いに来てたんだよね。」

「 ……あぁ。不思議だった。
女の子、一人でよく平気だなって…
気になって、気になって…でもさ、それって俺の夢の中での出来事でさ…。」

「…そう…私も夢の中だったって事でしょ。」

「夢って…繋がる事があるのかな…。?
仕事の休憩中、昼寝から飛び起きると、お前の事が頭から離れなくて…。」

「ありがとう…広斗。」

「………お礼なら…アイツにに言わないとな…。
なんか…そんな気がする。」

汚れた鉄板に触れたせいで、胸元が黒くなってしまった広斗のTシャツの埃を払う。

そんな私の手首を握り上げると広斗はぐっと力を込めた。

綺麗な漆黒の瞳の目力に、思わずドキっとする。

引き寄せられて…

キスされるかと思った…から、

とっさに目を閉じた私に、広斗は唇を合わすことなく…手首の力を抜いた。

「 アイツの所が先だっ…。」

そう言うと広斗は何か強く決意した様子で、入り口の隙間へと私の手首を引っ張って…ツカツカと突き進んだ。

2人で腰を小さくかがめたその時、

軽トラのクラクションが鳴り響いて…中年の知らないおじさんが声を掛けて来た。
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