金魚占い ○°・。君だけ専用・。○.
「いえ、解体するにあたって…お参りをさせて頂きたくて…。」
広斗はさっきここへ来る前に買った花束を見せた。
「 ………そういうことかね。
けどな、そんな事をしても無駄なのかもな。見ての通り…この廃墟は工事の出入りを拒むんだよ。
20年だよ…色んな事情があったにせよ、もうこの巨大廃墟は誰の物でもねぇ…苔と雑草とコウモリたちの楽園に他ならない。
何の力か分からねぇけど神秘さえ感じるよ。」
「……神秘。瑠璃…瑠璃に会いたい…。」
「あんた…?瑠璃君を知ってるのかい?」
私は思わずハッとして、口に手を当てて唾を飲んだ。
「20数年前…この商店街の小さな金魚屋で、母子の無理心中事件があったんだ。
小さな店で起きた悲劇は…大きな火災にまで広がって、古い昭和の造りの商店街は…あっと言う間に消失したんだ。」
「母子の心中事件…やっぱり、瑠璃は本当にいたんだ。私たちの夢なんかじゃない…。
瑠璃は本当に…存在してたんだ。」
私の胸は高ぶり苦しい程に興奮する。
広斗はさっきここへ来る前に買った花束を見せた。
「 ………そういうことかね。
けどな、そんな事をしても無駄なのかもな。見ての通り…この廃墟は工事の出入りを拒むんだよ。
20年だよ…色んな事情があったにせよ、もうこの巨大廃墟は誰の物でもねぇ…苔と雑草とコウモリたちの楽園に他ならない。
何の力か分からねぇけど神秘さえ感じるよ。」
「……神秘。瑠璃…瑠璃に会いたい…。」
「あんた…?瑠璃君を知ってるのかい?」
私は思わずハッとして、口に手を当てて唾を飲んだ。
「20数年前…この商店街の小さな金魚屋で、母子の無理心中事件があったんだ。
小さな店で起きた悲劇は…大きな火災にまで広がって、古い昭和の造りの商店街は…あっと言う間に消失したんだ。」
「母子の心中事件…やっぱり、瑠璃は本当にいたんだ。私たちの夢なんかじゃない…。
瑠璃は本当に…存在してたんだ。」
私の胸は高ぶり苦しい程に興奮する。