金魚占い ○°・。君だけ専用・。○.
「はっ……何のことやら分からんが…
あぶくには一人息子がいて…青い目をした可愛らしい子だったよ。
兄ちゃん…兄ちゃんってワシの事も近所のお兄ちゃんとして慕ってくれたけど…。」

「青い目…瑠璃だ……。」

「今思えば、夜…家に入れてもらえない事もよくあったのかな。
夜中の変な時間に店の前で座り込んでいたりしてたしな、裸足で。、今でいう虐待やな。」


胸が…張り裂ける。

幼い瑠璃を思うと…私の身体が粉々に引き裂かれる程苦しくて切ない…。

身体中がバリバリと音を立てる。


「よく親父がボヤいてたのを覚えてるよ。
金魚屋の姉さんの所にまたガラの悪い奴らが来てるって…きっとそいつらが来ている時は中に入れてもらえなくて、寒い夜中に一人で表に座らされていたのかもしれないな。
借金取りだって噂もあったけど…何されてたか分からねぇなぁ。
瑠璃の母親…酷いことをされてたのかもしれんな。」

「ひどい………。」

「時代が…時代だ、皆んな見て見ぬ振りさね…密かに心を痛めてた。
挙げ句の果てに、何の罪も無い瑠璃も…ワシの親父も、揚げ物屋のおばちゃんも…布団屋の奥さんも火事に巻き込まて、亡くなった。」


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