金魚占い ○°・。君だけ専用・。○.
「そんなの……悲しすぎます。」

「彼女を…助けてやるべきだった。誰かが一声…声を上げていれば…この商店街にあんな悲劇はなかったのかもしれない。」

「おじさん…お願いします。
中へ入れてください。このままじゃ私、納得出来ない!」

私の胸を引き裂くバリバリする痛みは…堪えれば堪えるほど強くなる。

「そう言われても…別にワシがここを所有している訳でも何でも無ねぇ…止める権利は無いけどな。
危ないぞ。
20年前と云ど…人が死んでる。
それに、中は相当、荒れてるはずだ。
いつ、何が落ちてくるか分からんぞ。」

「花を置いたら、すぐに戻ります。」

広斗は、おじさんに頭を下げた。

勝手にしろっ!…と呆れた顔でおじさんは道の端に唾を吐きつけると、車へと戻って行った。

「ありがとうございますっ!」

「出るぞっ!コレ…っ!」

と少し戯けて笑ったおじさんは、またお化けポーズをしてみせた。
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