金魚占い ○°・。君だけ専用・。○.
「できるの?」

「何を占う?」

「………ねぇ。瑠璃…くん、

私に未来なんて……ある?」

瑠璃は、美しい金魚たちの水槽から私に振り返る。

「………もちろんっ。」

軽く即答する彼をほぼ疑いつつも、そのとろけるような柔らかい口調と気怠く店内をウロつく彼の歩き方にフラッと付いて行きたくなる。



「今日……帰るべきか、帰らないべきか……」

占って欲しい。

実際、本気でそう思ってる。


「ふ〜ん。 OK。
この店に来て……一番先に、どの魚と目が合った?」

「目が合う……?金魚と?」

「そう。魚たちと……。」

「………。う〜ん、え…えっと。
あっ……そうだ…!」

じっと私を見つめる瑠璃の瞳に思わず…ドキっとする。

初めて会った子なのに…瑠璃……

不思議な子。

全てを受け入れてくれそうな…彼の飄々とした存在につい素直になれる。

「鯉……ほら、一番入り口の…生け簀の。」

「鯉。 あ〜なるほど。
口を開けて…馬鹿みたいに寄ってくる、アイツらね。(笑)」

しばらく黙って鯉を見つめる瑠璃は、やんわりと振り返ると笑った。

「今、お腹……空いてる。そうでしょっ(笑)」

「 もうっ!!何それっ(笑)
全然…占いじゃないじゃんっ!!でも、悔しいけど、ちょっと当たってる。」

不思議な子。

瑠璃といると、私という私を思い出してくる。
< 24 / 160 >

この作品をシェア

pagetop