金魚占い ○°・。君だけ専用・。○.
「瑠璃君も、隅に置けないね〜。こんなに可愛い彼女…。」

「あっ…。てか、そんなんじゃ…。」

「そう。…友達っていうか…親友…っていうか…。」

瑠璃の照れる顔以上に、私が照れていたのか…声が裏返る。

「あぁ〜。そう……親友。えっ…いつから?」

「ええーーーーっ!違うのぉ〜?!」

「(笑)ははっ。分かった!分かった。違わない。」

私と瑠璃が言い合う姿を見て、揚げ物屋のおばさんは、目を細めて一緒になって笑った。

白い割烹着は、揚げ物の油で前の方だけ茶色く染まっている。

おばさんの温かい笑顔。

優しい目尻。

ぷくっとした指で、釣り銭を手渡してくれるその手は…

やっぱり温かい。

「瑠璃君、お母さんに報告してあげたら?
こんなに美人さんの彼女ができたって聞いたら、気になって…気になって…(笑)
すぐに元気になるんじゃない?」

「(笑)だから、彼女じゃ…なくて。」

「お母さん、お大事にね。」

「おばちゃん、ありがとう…。」

瑠璃はそう言うと…コロッケの入った紙袋を少し手前に上げて、頭をさげた。



………瑠璃のお母さん……

そういえば、ずっと留守だよね……。
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