金魚占い ○°・。君だけ専用・。○.
会話の無いほんの数秒…。

エアポンプからのあぶくの音が大きく…私たちを取り巻いて、降り注ぐ…そんな風に感じるこの空間はやっぱり幻想的。

瑠璃が幻想的。

瞳を閉じた横顔はこの世の者ではないくらい…美しいから。

「 …未来… “ 未来の幸せ ”ってとこかな…。」

「今日も瑠璃といられる?」

「それは、占わなくていいだろってぇ〜。
今から行くんだろ、夜市。」

「うん。未来……未来の幸せ。
私、求めていいのかな。」

「(笑)菜乃には…そうだな。
この世界が終わっても…幸せになっていて欲しい。」

「………ん、なの。(笑)この世界が終わったら、無理じゃん。」

「菜乃の未来は絶対に……」

「絶対に……何?」

「いや。なんでもないっ…」

瑠璃の真剣な表情にまたノイズが走ったような気がする。



波打つ…白黒のノイズ。

暗い廊下の先の部屋、割れたままの写真立て……違和感。




「さっ。出掛けようっ!!」

「あっ。待ってっ!瑠璃。」

まだ蒸し暑さが残る夕焼けの中…私は長くなった瑠璃の影に小走りで追いついた。
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