金魚占い ○°・。君だけ専用・。○.
瑠璃は20年分…なんて言ったけど、本当に100年前の絵馬が残っているのではないかと思ってしまう程、この絵馬の数々に威圧感を感じずにはいられなかった。

「確かに…古くて今にもちぎれてしまいそうな絵馬がある…。
すごく奥の方とか後ろの方…。」

下に落ちてしまっている絵馬を私は見つめる。

「いつか…自ら朽ち果てて、自然に帰る。
願い事を叶える力は…自らにある。
そういう事なのかな…。」

「ふ〜〜ん。」

私は目を閉じて…この空間に耳を澄ます。

異様なくらいの力を感じて思わず、ぞっとする。

強い力と想い。

それを、感じる。

この絵馬たちから…?

「願い事、書いてみる?」

「書けるの?」

「もちろん、正面の鳥居の裏に販売所があるんだけど…菜乃、ここで待ってて。」

「えっ。私も……」

「いいから、待ってて。すぐに戻るよ。」

ねぇ、瑠璃…私も行く…

そう言おうとして、強い突風に押し戻される。

大きな波に飲み込まれるかのように、思わず口を噤んだ私のワンピースを熱風がはためかせ…長い髪を巻き上げた。
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